海がない京都市で、灯台をモチーフに作られたランドマークが「京都タワー」です。高さはビルが31メートル、その上のタワー部分が100メートルで合わせて131メートルあり、現時点で京都市内で最も高い建造物です。
展望室からは京都市内や周辺はもちろん、天気が良い日には大阪市街までを望むことができます。

古都 京都にこのような建造物が必要か?は賛否が分かれていました。
京都には「東寺の五重塔よりも高いものは建てない」という不文律があり、国宝である東寺の五重塔は高さ54.8mで現存する中では日本一高い木造の塔です。この歴史的な景観との兼ね合いをどう付けるかが論争となっていました。
では東寺の塔より高い建物が本当に京都に建たなかったのかというと、実際にはいくつか建てられています。
よく知られるのは「法勝寺 八角九重塔」で、約81メートルとされていますが、康永元年(1342)の火災でで焼失し、現存していません。
更に高いもので「相国寺 七重大塔 」があり、高さ36丈(約109メートル)と伝えられる七重の塔もありましたが応永10年(1393)に落雷で焼失、北山に再建されるも応永23年(1406)に再び焼失、相国寺に再建されるも文明2年(1470)に焼失し、以降再建されることはなかったそうです。
結局、まことしやかに囁かれているこの不文律は根拠がなく、現在無事に京都タワーは建っているわけですが、この不文律を好意的に解釈すれば、高すぎる(木造の)塔は焼失するから危ない、という警告だったのかもしれません。