店舗のすぐ脇上空を送電線が通っており、店の奥方向に立つ紅白の送電塔で分岐線が右手方向(東方向)にも伸びています。

脇上空を通る送電線はいずれも店より北方向にある小山変電所からの東京電力パワーグリッドの66,000V/50Hzの二つの送電線が併架されており合計で4回線、12本あります。うち上側は、店より西方向にある総和変電所へと接続される三和線(2回線、6本)、下側は店より南方向にある西越谷変電所へと接続される山西線(2回線、6本)です。

また、店舗後方の紅白送電塔で三和線から東方向に分岐する送電線は国際電電八俣線(2回線、6本)で、東にあるKDDI八俣送信所(旧 国際電気通信八俣送信所)へと電力を供給する需要家線です。

八俣送信所は東京ドーム22個分の敷地とされる広大な土地に多数の鉄塔が建ち並び、なおかつ鉄塔間に網のようなものが付けられている、一見すると不思議な場所です。これは「カーテンアンテナ」と呼ばれ、鉄塔間に張られた細かい網目状の導線(エレメント)がアンテナの役割を果たしており、カーテン状の網から電波(短波)が発信されています。

短波(HF)と、他の電波、例えばAMラジオの中波(MF)、FMラジオの超短波(VHF)、地上波テレビの極超短波(UHF)などとの違いは周波数です。短波の伝播には特徴があり、上空にあり電波を反射する性質がある電離層F層に向けて発射すると、電離層と地上の間を交互に反射しながら地球の裏側まで届きます。対し、ラジオやテレビの周波数はアンテナの近くにしか届きません。この短波の伝播の特徴を使うと、長距離通信が簡単にできるのです。

この八俣送信所は日本唯一の短波国際放送施設で、短波により、NHKの国際放送と、北朝鮮による日本人拉致被害者向け放送「しおかぜ」の放送をしています。元々NHKはKDDIと独占使用契約をして設備を借り上げて使用していました。このため政府(総務大臣)が独占使用中でありなおかつ公共放送でもあるNHKに拉致問題で北朝鮮向け放送を命じたところ、NHKは人権よりも政治を優先してこれを拒絶し、当時は大きな社会問題となりました。日本の海外向け短波放送設備はここしかないので「しおかぜ」は市民団体 特定失踪者問題調査会により、当初イギリスから第三国の送信施設を経由して放送が開始されました。そしてNHKはKDDIとの独占使用契約を解除し放送時間が空いた時間に特定失踪者問題調査会に設備を供与することで、「しおかぜ」は放送開始から約2年後の2007(平成19)年10月29日より八俣送信所からの放送に切り替わっています。「しおかぜ」は寄付やグッズ販売等で放送に必要な経費を賄っているそうです。